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インフレ信者が多いのであえて逆を言うのが相場師の宿命

朝刊
09 /05 2010
 インフレインフレとまるで理想の地のように盛り上がっているが、あえてここで逆を言うのが相場師ってもの。エコノミストじゃねーし、遠慮はいらないわな。
 そもそもデフレ悪=インフレ正義的な考えになってるし、僕も経済的な固定観念からデフレよりもインフレがいいと思っていた。そこでまずインフレ下では資産家が富むのは当たり前として、はたして庶民は幸せだったのかというのが重要ではないかと思う。みんなインフレと言うと80年代のバブルを想像するが、あれはインフレではなくてバブルであり特殊な環境である。日本ではインフレ=バブルで宣伝すればイメージがいいのでそういう扇動をしているが、実際インフレと言えばあの狂乱物価の昭和50年代のオイルショックだろう。それにバブルのイメージでみんな金持ちのイメージがついて回るが、実際金持ちだったのは一部であの時代の今で言う負け組は負け組どころかゴミ扱いだった。なんせ物はみんな高くなっていくのに賃金の少ない労働者は生活だけで精一杯であり、中には会社が欲を出して成長するために連帯保証人させられた労働者だっている。ようするにあの時代だって全員が幸せだったわけではなく、一部が金持ちであり他の人達はそんな浮かれた連中の踏み台にされていた時代だった。
 理想のインフレ時代であるバブルですら多くの犠牲に成り立っていたわけだが、今インフレを待望してる人達はまるで自分があの勝ち組になれると思い込んで期待してる人が多いのではないかと思う。あの時代の神話が貧富の貧の部分に脚光が当たらないまま、インフレを煽られてはインフレになった時に「俺が思ってたインフレはこんなはずじゃないかった」と膝を折る人が多いだろう。
 では本物のインフレだが、実際には原油価格が上がり物価は上昇する。そして賃上げは行われるものの物価の上昇率よりも低かった為に、実質賃金はじり貧だった。結局働けども働けども数字上は富んでいるが物価の上昇の為に庶民の生活は豊かにならず。そして、企業業績もインフレ転換すぐは良いのだが賃金上昇や資材価格の上昇で苦しくなっていった。今のデフレの円高と同じようにインフレの円安は逆に悪影響なのだ。そこで株価を上昇させたのは実は円高の流れだった。昭和50年代のオイルショックはまさに今とは逆の状況で調べれば調べるほど面白い。きっとオイルショックの頃の日本人を猛暑だとすれば、今の日本人は極寒とでも言うべきか。まさに夏で冬を懐かしむように冬で夏を懐かしむのだろう。
 インフレは貧富の差を広げ、デフレは貧富の差を縮める。何度も言うがインフレは資産家を富ます。金持ちがますます金持ちになるわけだ。では今の若者はこのインフレの波に果たして乗れるのだろうか?資産もないのにインフレを待望するのはいいが、インフレにとって一番リスクの高い現金貯蓄をしてる有様。インフレは通貨の価値が下がるわけだから、貯蓄をしてる者がバカを見る。なのに貯蓄をしているのにインフレを待望してる人達が多く無いだろうか。
 さらに経済関係者は口を揃えてインフレを理想郷のように語るのは当然インフレへのリスクヘッジも出来てるし知識もあるからだ。彼らはその波を待ち、次のインフレの波で上に上がるように仕掛けるチャンスをうかがっている。それに証券会社の人がインフレというのは当然で、インフレになれば活発になるのは株式の取引になる。そうすれば彼らは儲かるのだから当然だ。むしろ彼らがデフレがいいなどというわけがない。しかし、彼らもインフレ退治に金利引き上げた時の株価暴落で大損を食らうのも彼らの習性ではあるが、虫みたいなものだ。
 さて勝ち組であれば、インフレを存分に待望しても構わないがもしも自分が庶民、もしくはそれ以下になるだろうと思うのであればデフレの方が幸せに暮らせる。食料が安いのだ、少し働けばとりあえず食べることは出来る。しかし、インフレではそうはいかない。常に値段が上がっていく世界になる。ゲームのルールが変わっていくのだ。賃金が上がらないのに、牛丼が500円になり毎月10円ずつ値上げていく世界になっていく。賃上げがその物価を織り込んでいってくれればいいが、はたして自分が所属している会社は賃上げをしてくれるだろうか。当然経営者ならそんな心配はいらない。昨日買った物は明日高値で売れる世界だからだ。
 はっきり言って賃金を自分で決められない企業に雇用されてる者がインフレを待望するのはどうかと思う。インフレになればゲームルールが変わるのでヘタをすれば今安定して働ける人の方が厳しい状況になりかねない。インフレは安売り企業にとって利幅が薄い分リスクが高いのだ。今働けてるから、インフレになればこの会社はさらに安定だと考えるのは安直だろう。しっかりとインフレに強い企業に勤めてるならインフレ待望論で構わないが。
 インフレとデフレでは資産家は天国と地獄ではある。しかし、庶民にとってどちらがいいのか。後進国のデフレは確かに良くないが、行きすぎた先進国のデフレは仕方ないのではないかとも思う。日本人の好きなアリとキリギリスの話で言えば、まさに今は冬の時期だろう。アリは労働者だとすればキリギリスは資産家だ。そんなキリギリスの悲鳴がインフレなのではないだろうか。
 デフレよりもインフレがいいとしたのは確かケインズだっけかな。確かにあの時代ではインフレの方が良かったのだろうが、人は人より賢い機械のコンピュータとそのコンピュータを繋ぎ脳にしてしまったインターネットを生み出してしまった。このきっかけが大分経済に与える影響が大きいと思う。インターネットは人が行っていた単純労働の多くを奪ってしまった。要するに雇用そのものが前と同じように確保出来ないわけだ。これはまるでマルクス経済の機械が発達した先に社会主義があるという考えに繋がるような気がしてならない。このインターネットの登場がケインズからマルクスへの経済学の変わり目なのではないかとも思えてしまう。
 この大きな変化からインフレは雇用を生むから、インフレの方がデフレよりも比べた結果いいという考えは変わってくる。インフレになっても雇用が増えない可能性が出てきてしまったわけだ。インフレでも雇用が増えないのであれば、ケインズもインフレとデフレの消極的な洗濯から選んだインフレがいいとは言わないのではないだろうか。もしかしたら、これから先は雇用なき経済成長時代に入っていくのかも知れない。もしも新しい産業を産み出したところで始めは人が行うだろうが、その仕事は次第に機械とコンピュータが代わりにやっていく。それだけの技術とコンピュータの性能があるのだ。もう今では手作業の単純労働はほとんど機械に出来るだろう。仕事はその機械を作るか直すくらいだろう。なんかマルクス経済っぽい流れだけど、インターネットの登場によってどうも雇用の増加が想像出来ないわけだ。せいぜいネットの無い新興国くらいだろうけど、それもすぐにネットが雇用を駆逐していくのではないかと思う。その設備投資で経済は盛り上がるだろうが。
 あとアメリカが必死に通貨安にしているが、この反動はきっとアメリカがいつも熱くなっているインフレ退治に繋がるだろう。その来るべきアメリカのインフレにその時代の大統領は無能呼ばわりされるはずだ。それは現大統領か次の大統領かはわからないが。そして、その猛獣のインフレ退治に付き合う気があるなら日本も従っていけばいいが、残念ながら今の日本の政治家達ではインフレ退治は出来ないだろう。だから、僕は出来ることなら政治家が新陳代謝が終わるまでデフレであって欲しいと思うわけだ。
 インフレ待望するのはいいが、インフレ後にこの国と政治家と国民が果たして猛獣であるインフレと闘う準備があるのかどうかが僕は一番心配してるわけだ。デフレであれば国民がとりあえず食べてはいける。
 あとインフレになれば雇用が増えるというが、現状のデフレでも失業率5%なんて許容範囲だと思う。借金の多い日本ではインフレに入っても公共投資は出来ず、雇用はそれほど改善されないのではないかと思う。他の国のように5%くらいが先進国として妥当なラインだろう。デフレで失業率10%越えるあたりがデッドラインではないかと思う。そもそも失業率2%台なんて急成長国で公共投資もフルにしてでの数字だろうと思う。アメリカでも9%の失業率なのだから、まだまだ日本は悲鳴を上げる時期ではないのではないかと思う。長期的に見た場合さらに酷い状況になってやっと先進国レベルなのだから。つーか今調べると失業率2%ってどんなマジック作ったんだと思える数字だ。資本主義は勝ち負けをはっきりさせる制度だから、全員勝つなんてそれ相当の犠牲もなければ無理だろう。
 相場師を調べるといつも彼らは時代と逆行してることを言っている。まさか僕もそんな一人になるとはね。さすがに是川銀蔵の金本位制崩壊を当てるような芸当は出来ないけど。
 あ、とりあえずインフレ待望論を振りかざす前に自分でしっかりとインフレを調べてみるといい。日本は開国後常にインフレとの戦いの歴史で100年で一円の価値は明治時代には現在の一万円の価値があったのに今では一万分の一にまで暴落してる。これだけインフレになってきた日本にとって、バブル崩壊後やっと転換したデフレだが20年で数%の下落など大したことはない。今まで貯めてたデフレが一気に吹き出してるわけだ。経済は揺り返しなのでデフレもインフレもしっかりと受け止めていかないといけない。
 そうそうインフレを調べるのは何も経済本を開かなくてもオイルショック時の小説や漫画でもいい。例えば藤子不二雄のその時代に描かれてた漫画でもいい。あの時代の負け組はのび太くんに慰められて励まされるような人間なわけだ。それ以外にもあの時代の漫画家の生活を見ればインフレの苦しさが見えてくるだろう。肉だけでご馳走なのだ。他にもあの時代の新作落語とかあればいいのだが。
 しかし、ドル円でみれば確かに円高だがまだまだガソリン価格ではイラク戦争後に100円突破して悲鳴上げた時代よりも高いままだったり、このブログで紹介してる兜町戦史(1995初版)の作者が21世紀前半でも抜けないだろうと書いた金価格の最高値を抜いたままで維持してたりと、立体的に円を見た場合決して円高でもないわけだ。ってここにはいつも書いてるからわかってるか。そういえばドル安政策はマズいってジムロジャーズが言ってた記事をどこかで見たけどあの人とは意見が一緒か。
 ああこれだ。
著名投資家のジム・ロジャーズ氏、米国はEU経済政策を参考にすべきとの見方

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黒崎銀二

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福澤桃介と金子直吉の評価の低さを憂う。
2007年8月31日開設
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